コストダウンの余地がねむっている? 宅地造成の話

本来土木の話ですが、木造に限らず住宅や建物と密接に関わる話でもあります。

宅地造成の計画と工事費

一般に開発許可申請や宅地造成規制法にともなう宅地開発や宅地造成の計画や申請は一般に測量士、土地家屋調査士、行政書士を兼任する事務所で行っていますが、彼らは測量や行政手続きのプロである一方で、工作物である擁壁等の設計については少々荷が勝ちすぎるようです。平地を整地するだけで建物を建てられる様な土地ばかりなら良いのですが、時には水田を埋め立て、時には山や丘を切り開きという宅地も少なくなく、造成工事費用が大幅に予算超過してしまって困っているという相談をしばしば受けます。

元々宅地造成の関係は専門外だったので渋々受けていたのですが、よくよく突き詰めていくと奥が深くコストダウンにとどまらない工夫の余地がいろいろある事に気付かされます。

造成工事費がかさむ原因を調べてみると、少々大きめな擁壁が配置されている事が最も多いです。申請上擁壁の根入れが不足しないように多め多めに取っているためと思われますが、結果地中に必要以上に深く根入れされ擁壁本体が大きくなるだけで無く掘削の土工事も多くなる上に安全性の点でも不利になります。さらに、擁壁下の地盤が弱い場合は杭や地盤改良が必要となりますが、擁壁が大きくなれば地盤改良の必要耐力も大きくなりここでもコストが増大します。つまり雪だるま式に造成工事費が増大する設計がされていることがままあるのです。

また、敷地の高低差を1m以内に抑えると許認可上擁壁とする必要が無くなり、災害時の崩れのリスクも少なく擁壁で無くコンクリートブロックで十分になるため、宅地造成の計画は敷地の高低差が最小限に、できるだけ1m以内に納まるように計画することがコストダウンに有効です。

ご注意:自治体によっては高低差1m以下でも擁壁とすべきと定めているところもあります。

以前相談を受けた傾斜地で道路付き10棟の宅地開発のケースでは、道路勾配と各区画の宅盤レベルを調整し、土工事と擁壁の範囲・大きさが最小限になるように計画し直した結果当初より1000万円近く造成工事費が節約できました。

ハウスメーカーやビルダー、工務店の皆さんは建物のコストダウンについてはギリギリまで突き詰めており、そこから1棟あたり100万円のコストダウンは困難でしょうが、建物の下の宅地造成工事についてはまだ大幅なコストダウンの余地があるかもしれません。

区画割りと擁壁配置の最適化

構造屋としての仕事は本来擁壁の構造計算をしてしまえばおしまいなのですが、仕事柄いろいろな住宅のプランを見ているため造成計画平面図を見ていると「建物の配置上こうした方がいいのでは無いか?」とつい口を出してしまう事がままあります。

木造住宅は特に910~1000mmのモジュールにしたがってプランされますが、敷地幅があと10cmあればもう1グリッド追加して良い間取りが作れるのにとか、区画割りはここに直角をつければ建物を北に寄せて南側の採光をとれるのにとか気になってしまいます。こう言うとクライアントからは最初面倒くさい顔をされるのですが、住宅の間口が1グリッド増える・南の空きが大きくなるは住宅の付加価値向上になるので喜ばれるクライアントには喜ばれます。

また、道路と宅地に高低差のある敷地では駐車スペースは道路のレベルにして宅地内に擁壁と階段をつける必要がありますが、車の出入りがしやすい駐車スペースの確保や想定される住宅の玄関の位置から導線的に適切な階段の位置決め等を考えるのは個人的には楽しい悩みです。

私個人の考えですが、宅地造成というのはそこに建築する住宅のために行うものなので開発許可や宅地造成規制の申請を通す、コストダウンするだけで無く、よりよい住宅が計画できる宅地を作る事が重要では無いかと思います。


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