よく「建築の構造計算はだれがやっても同じ結果のはずだ」という意見が あります。
これについては多くの構造設計者と同じ反論をさせていただきます。
構造設計は設計者によって結果(出来上がる計算書や図面)は変わります。
なぜ違うか?については多くの構造設計者は「設計する者によってモデル化の仕方が・・・」等の説明されています。その通りなのですが、モデル化と言われても構造屋さん以外には建築関係者でもピンとこないと思います。
建築物の耐震性と建設コストに差がつく設計の最適化とは?
私は構造設計者によって生じる最大の違いは設計の最適化する能力の違いと考えています。
どういう事かというと、構造設計では様々な項目について必要な強度を満たせるように部材を配置・計画しますが、仮にある建物でA〜Eの五つの項目の必要な強度がA:4、B:3、C:8、D6、E:
1だったとしましょう、ここである構造設計者の甲さんは各項目の強度が10となるように設計したとすると各項目のマージンは
A: 10−4=6
B: 10−3=7
C: 10−8=2
D: 10−6=4
E: 10−1=9
となります。建物の耐震性は一般に一番余力の少ない箇所で決まるので、この場合50の材料を投入して2の安全マージンを持った設計をしている事になります。
一方、別の構造設計者の乙さんはA〜Eの各項目の強度をそれぞれ8、7、12、10、5となる様に設計しました。ことのきは
A: 8−4=4
B: 7−3=4
C: 12−8=4
D: 10−6=4
E: 5−1=4
となり、乙さんの設計は42の材料を投入して4の安全マージンを持っています。つまり乙さんはあまり強度の必要で無い箇所は材料を節約して無駄を削ぎつつ、大きな強度の必要な箇所は強化し、甲さんより安くて安全マージンの大きな設計をしているわけです。
甲さんの設計も乙さんの設計もちゃんと確認申請が通り法令で要求される強度も確保されているのですが、建設コストも性能も違ったものができるのです。
以上は構造設計を少々乱暴に模式化して説明したものです。実際はこれよりはるかに複雑なため乙さんの様な理想的な構造設計はなかなか出来ませんが、腕の良い構造設計者ほど部材を適材適所に配置して高い耐震性を確保しつつコストダウンをやっています。このため、構造計算はだれがやっとも同じだろうと構造設計料の安い構造設計事務所に依頼した結果、10万円安い構造設計料のために建設コストが50万高くなる場合もありうるのです。
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