2022年6月17日に成立した四号特例縮小縮小法案(正式名称「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)」)で所謂"4号特例"が実質廃止される事になりましたが、これに伴い改正される予定の新しい壁量計算の案が2022年10月28日に国土交通省から発表されました。
※"4号特例縮小"という表記も多いですが、ここでは条文に合わせて漢数字表記をしています。

リンクはこちら
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html

要約したパンフもあります
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/common/001500389.pdf

内容を読むと先ず該当する建築基準法施行令46条などの仕様規定が2023年秋頃の公布され、2025年4月に四号特例縮小と同時に施行される予定となっています。
また、今回ZEH(ゼロエネルギーハウス)水準の木造建物の必要壁量案のみが発表され、従来の木造建物の必要壁量については言及されていません。
いずれZEH水準建物の住宅に統合される事が前提なのかもしれません。
ここでは改正後の仕様規定案をわかりやすく整理して解説してみたいと思います。

改正後の施行令46条の壁量はどうなる?

気になる改正後の必要壁量ですが、壁量計算の方法が3種類のどれかによるとされます。

(1)個々の建築物の荷重の実態に応じてより精緻に検証する方法
(2)簡易に必要な壁量を確認する方法
(3)構造計算により安全性を確認する方法

前後しますが(2)の簡易に必要な壁量を確認する方法が従来の壁量計算の必要壁量になります。
(1)は建物重量を構造計算と同様に計算して必要壁量を求める方法です。許容応力度計算と同様に重量を計算せねばならないため、手間はかかりますが(2)の方法よりいくらか必要壁量を減らすことが出来る様になると思われます。
(3)は許容応力度計算です。この案から許容応力度計算を実施すると壁量計算は免除される事になりそうです。

では従来方式の場合、新しい壁量はいくつになるかが以下です。新しいZEHモデル必要壁量は屋根の重さの区分は無く建物の階数のみで決められています。
その必要壁量は以前当事務所の記事で予想した値の中間に落ち着いているようです。
また、2×4建物の必要壁量案も出されていますがここでは割愛しますので、リンク先をご確認ください。

柱の小径も厳しくなる

 他に気をつけるべき変更として柱の小径の基準強化があります。こちらの規定は従来一般的な105x105の柱を用いていれば問題無かったですが、ZEHモデル改正案では2階建住宅の場合1回の柱が階高によってはNGとなります。

表中の横架材の垂直距離とは一般に柱の内法寸法と解釈されますが、梁せいが150mmとすると1階の階高が2775mmを越えるとNGになります。
多雪地域だとさらに厳しくなり、120角柱を用いても一般的な階高をクリア出来なくなります。
救済措置として性能表示の柱が負担する上階の面積による検討を行えば良いとありますが、階高を高めとしている場合手間がかなり増える事になりそうです。
尚、許容応力度計算をした場合一般的な住宅では階高3mとなっても概ね105x105柱で問題ありません。

そのほかに気になる事

そのほかに国土交通省の資料を読むと「性能表示」や「長期優良住宅」の技術解説資料による検討を推奨する文言が多くみられます。
国土交通省としては、実質全ての住宅をZEH水準建物の住宅かつ性能表示の耐震等級2相当に収束させたいのでは?という印象を持ちました。


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