木造がらみの混構造は適判無しで確認申請下ろせます。

最近相談案件に、狭小間口等で木造は困難なので1階をRCに2,3階を木造の混構造にしたい、でも適判がかかって大変だから・・・  というのが増えてきました。

どうやら意匠設計者さんの多くは混構造=問答無用で適合判定が必要→難易度的・スケジュール的に無理と考えて、計画初期段階から諦めてしまっている事が少なくない様です。一方で鉄骨造やRC造にすると建築費が予算オーバーで計画そのものが取りやめになってしまう事も多いとのとこです。また、木造2階建てで地下室を作りたいのに同じ理由で諦めてしまう設計者やお施主さんも多いのではないでしょうか?

一定条件を満たせば混構造でも適合判定は不要

結論から言えば、一定条件を満たせば混構造であっても適合判定無しで木造3階建てと同程度の審査で確認を下ろせます。混構造=適判というのは悪名高き平成19年の建築基準法改正の際そうなったという誤解が広まりましたが、実際は混構造であっても告示593号第四号イ等の規定に従えば適判は不要になります。

具体的な条件を壁式鉄筋コンクリート(壁式RC)造と木造の混構造の例で簡単にまとめると

  1.  建物の形態として
    (i)地上2~3階建てで1階をRC造その上を木造としたもの
    (ii)地上3階建てで1~2階をRC、3階を木造としたもの※H23年5月の改正で可能になりました
    注意:同一階で木造とRC造を併用している建物は適判対象になります。
  2.  最高高さが13m以下で、かつ、軒高9m以下であるもの
    注意:この条件から外れると構造設計そのものが(適判をかけても)実質不可能になります。
  3.  延べ面積が500㎡以内であるもの
  4.  地上部分について、層間変形角が1/200以下(損傷の恐れが無ければ1/120以下)とすること
  5. 1階RC、2~3階木造の場合、2~3階の剛性率が0.6以上
  6.  1~2階RC、3階木造の場合、1~2階の剛性率が0.6以上
  7.  地上部分の各階の偏心率が0.15以下 ※地下階は不要
    注意:
    ・壁式RC造は偏心率の制限が無いが、壁式RCの階も偏心率を0.15以内にしないと適判必要
    ・木造階も通常の偏心率0.3より厳しい0.15以内にしないと適判必要
  8.  RC造の階について、Σ(2.5αAw ) + Σ(0.7αAc ) ≧ 0.75 Z W Aiを満たしていること
    ※壁式RCなら問題なくクリアできます
  9.  木造の階について、昭和55年建設省告示第1791号第1に定める構造計算を行ったもの
    ※施行令と告示にある筋かいを使う場合、一般に自動的にクリアできていると見なされると判定されます。

このほかに壁式RCは仕様規定を必ず準拠する事が求められますので、2階床レベルにRCスラブが無い計画は不可能ですので注意が必要です。

以上、大まかには同じ階で木造とRCを併用していない軒高9m高さ13m延べ床500㎡地上3階建て以下の耐震壁の偏りが少ない混構造であれば、適判無しで木造3階建てと同様の審査で確認を降ろすことができます
この条件はそれほど厳しくは無いと思いますがどうでしょう?

適判にかからない混構造の概要

 

また、1階をガレージにして道路側を全て開口とした場合、上記の偏心率0.15を満たせなくなって適判がかかる様になるので注意してください
適半にかからない混構造の概要2

壁式RCは一貫計算ソフトを使うとプラン制限等が大きすぎ、手計算だと制限が少ない代わりに人工がかかり構造設計料が高めになるという問題がありますが、それでも総S造や総RC造にするよりは低コストで建築できるのでメリットは大きいと思います。

 

2階建てなら延べ床3,000㎡まで適合判定無しで確認を降ろせます

これも意外と知られていないのですが告示593号第四号ロにて2階建て延べ床3,000㎡以下の建物も適判無しで降ろせます。この場合地震力を1.5倍して構造計算しますが、耐震等級3の構造設計が普及している現在はそれほど難しくはないでしょう。

500㎡超えで適判が不要になる混構造

 

地下室を作る場合の注意点

地下室付きや傾斜地で地階ガレージ付きの混構造建物の依頼もよくあるのですが、地下階を計画する際に一つ注意点があります。

一般に建築基準法上は 床が地盤面下にある階で,床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの 1/3 以上が条件ですが、構造計算の審査上はこれより厳しく確認申請上は地1階地上2階だが構造計算上は地上3階建てとして計算しなければならない場合があります。ことのき1階と2階などの必要壁量が通常より多くなりますので木造部のプランに注意が必要です。目安として地上2階建ての場合で通常の1.3~1.5倍の壁量が必要になります。

構造計算上も地階となる条件

多くの自治体や審査機関では「日本建築士事務所協会連合会:建築基準法改正に基づく構造設計 Q&A 集」に基づいて以下の条件を満たす場合に構造計算上も地階と扱っています。

①地下階の階高の2/3 以上がすべて地盤と接している場合
地下階の扱い1

②地下階の外壁全周面積の 75%以上が地盤と接している場合
地下階の扱い2

以上のどちらかをクリアしていれば良いので、計画時に配慮しておくと予想外のコスト増やプランの変更を回避することが出来ます。

 

条件を満たしていても地下階扱いされないケース

自治体や審査機関により扱いが異なりますが、以下のケースでは地下階としない場合がありますので、事前に審査機関等へ確認が必要です。

③ガレージ等で外壁の一面が全て露出している場合
地下階の扱い3
このケースでは、地下階の開けている方向に土圧がかからず、地震力が地上階とほぼ同じになると判断される場合があります。

④ドライエリアがある場合
地下階の扱い4
図のようなドライエリアを持つ建物の場合、ドライエリアの壁と建物本体が別と判断され地下階と見なされない場合があります。逆に剛な梁やスラブでドライエリアの壁と建物本体が一体と見なせるディテールであれば地階扱いに出来ます。

 

尚、構造計算上地階が地上階扱いされる場合でも、適判がかかるか否かはあくまで確認申請上の階で判断するため地盤に接する面積が75%未満のガレージ等の地階が偏心率0.15を超えても適判にはかかりません

 

最後に

以上、木造がらみの混構造について簡単に解説しましたが、現在計画中の案件のある意匠設計者さんは今一度混構造を検討してみてはいかがでしょうか?

 

ご注意:建築基準法の運用に関しては念のため行政や審査機関に確認の上計画を勧めてください

 


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