建築士会2014年4月の会報で「木造建築の今」という特集が組まれていたのですが、木造建築に関わる大工に特に焦点が当てられていました。
建築業界では大工さんの減少が知られていましたが、国税調査によると1980年のピーク時に約94万人いた大工さんが2000年には2/3強の約65万人、2010では1/2の45万人まで減少しているそうです。このペースで減り続けると東京オリンピックが開催される2020年には30万人まで減ってしまうそうです。さらに年齢別に見ると29歳以下が9%に大して50歳以上が56%にもなり高齢化が進んでいます。
実感よりかなり急速に大工さんの減少と高齢化が進んでいるのに驚きです。
さらに新規入職者は10代と20~24歳までの世代がそれぞれ年間1万人来ていたのが2010年には10代2,150人、20~24歳が4,868人と、新たに大工になろうとする人が60%まで落ちており、離職者も増えています。
せっかく国として木造建築を推進し、民間でも中大規模木造が普及し始めているのに、実際に建物を作る大工さんが減り続けているのは非常に残念ですね。
建築業界では大工の人工代が高騰しているという悲鳴がそこかしこで聞かれますが、その大工さんらはバブル崩壊以降の不況からずっと安い賃金と不安定な地位に耐えてきたともいえます。業界の長い目でみれば大工職は技術があれば相応に稼げる、やりがいのある形態になればトータルで良い建築を生み出してゆけるのではないかと個人的に考えます。
余談ですが、あまり話題にならないものの構造設計を担う構造系の建築士も高齢化が進んでいて、私が構造設計一級建築士の資格付与講習に行ったときは周りはほとんど白髪の目立つ50~60代で、アラフォーの私が最若年でした。この中で木造の構造設計を行う人はさらに少なく、それを補うために木造の構造設計はパートのオペレーターや中国ら海外へ外注によって構造計算や構造図面の作成が行われているのが現状です。私もそろそろ若手の育成を始めないといけなくなってきました。