木造住宅の安全性について問題になっていた四号特例を縮小する法案が脱炭素関連の法案とともに2022年4月22日に提出され同5月24日衆議院で可決されました。参議院での審議を経て今年度の通常国会で成立する見通しです。四号特例の廃止はいつからかはまだ確定していないですが、施行は2025年度中を目標としている様です。

法改正の元になった四号特例の問題については下の記事をご覧いただければと思います。
木造2階建て住宅は構造計算されていない!?

先日発売の日経アーキテクチュアでも特殊が組まれていますが、今後どうなっていくかわかる範囲で解説したいと思います。

※”4号特例”、"4号建築"とアラビア数字で表記される場合も多いですが、当事務所では法律の表記である漢数字の“四号特例”、“四号建築”と表記します。

建築基準法6条四号は無くなる?!

改正案をみて驚いたのは建築基準法6条から四号の項目が消え、従来四号に位置づけられてきた建物は二号(木造3階建て/延床500㎡超など)と三号(平屋又は200㎡以内の非木造)に振り分けられる事でしょう。これに合わせて二号と三号の法文も修正されます。また、建物の自重、人や家具などの積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧、地震力に対する案蝉蛻を確保するための構造計算の方法を定めた建築基準法20条も改正され、確認申請で構造計算書の提出義務を免除される面積も500㎡以下から300㎡以下に縮小されます。

改正前と後でどのように変化するかをわかりやすく一覧にすると以下の様になります。

木造建築の審査(改正前)

木造建築の審査(改正後)

注釈
○号    :建築基準法6条の適用号(視認性を重視しアラビア数字表記)
計     :建築基準法20条に基づき構造計算書の提出が必要な建物
特殊建築  :映画館、病院、ホテル、共同住宅、学校、商業施設、倉庫など
特殊建築以外:戸建て住宅、事務所など
○号 計 :壁量計算図表等、構造図面と構造計算書が必要
1号/2号 :壁量計算図表等、構造図面が必要
3号/4号 :構造関係の設計図書が省略可
※日経アーキテクチュアの記事等を参考に筆者が作成

改正後の三号が現状の四号に近い確認申請の手続きになると思われます。また、雑誌記事などでは住宅(特殊建築物以外)のみで20条の構造計算書の義務も別に語られる事が多いので、木造建築全般がトータル改正前と後でどうなるかまとめてみました。非住宅では300~500㎡弱の建物も多いので、改正後の影響には注意が必要であると思われます。

 

必要壁量はどれくらい増える?

またZEH(ゼロ・エネルギーハウス)などの省エネ住宅の普及に伴い住宅の重量が重くなったため、施行令46条の壁量計算の必要壁量も増えると予告されています。ではくらい増えるか気になるところかと思います。

今は予想する事しかできませんが、記事で紹介されていた試算結果を読み解くと、従来の住宅も実状に合わせると品格法の計算方法による耐震等級1相当でも1.21~1.41倍の壁量が本来必要で、これは実務の許容応力度計算で耐震等級1相当で計算したときと概ね一致します。筆者の予想では最低ラインが現行の1.4倍にになる可能性も少なくないと考えています。一方ZENモデルでは現行の必要壁量の1.49~1.76倍が必要という結果が紹介されています。このモデルがどのような荷重を仮定したは不明なので妥当性がどうかは言及しづらいですが、許容応力度設計するさいも、ZENの建物重量を過小に設計してしまう危険があるので仮定重量も内訳を公表してほしいところです。

記事を基に筆者なりに改正後の必要壁量を予想してみたのが下表です。


必要壁量がかなり増えてしまいそうですが、そもそも現行の46条の必要な壁量が実状よりかなり少ない現状が専門家の間で問題にされていたので、この期に一気に是正されるのでは無いかと思っています。また、国土交通省はZEHの必要壁量の制定しているとのことなのでゆくゆくは表中のZEHが実質義務になる可能性も少なくないと思われます。幸い合板耐力壁は一般的な壁倍率2.5倍を上回る壁倍率3.7倍の仕様が2018年に告示化されているのでそれらを活用してゆく事になると思います。当事務所では自主的に許容鉛直支持力度設計で耐震等級3の設計をする木造平屋/2階建ての依頼を受けていますが、プランによっては3.7倍耐力壁はそれなりに用いています。

また、一方で許容応力度設計を実施した場合あまり意味の無い壁量計算の仕様規定は免除しても良いとは思うのですが、それは今回は無さそうですね。

追記:
壁量計算については国土交通省より2022年10に改正案が発表されています。許容応力度計算を行った場合は壁量計算は不要となる方針の様です。
改正案についてはこちらでまとめています。
四号特例縮小に伴う新しい必要壁量の情報

 

施行は2025年度

この四号特例縮小の改正は2025年度を目標にしていますが、アンケートによると43.6%が対策の検討もしていないという結果が出ています。4号特例が縮小されてもまだ構造計算書は必要でないですが、壁量計算図表やN値計算、四分割法の資料と共に柱梁伏図、基礎伏図、断面リスト等の構造図が確認申請に必要になるのは確定しています。外注設計を利用する場合も施行当初は請け負える外注設計事務所は一杯になってしまう事が予想されます。まだ3年ほど猶予があるので今のうちに対応できる業務フローづくりや協力設計事務所等の確保に動いた方がベターであると思われます。

 

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