先日依頼を受けた木造2階建ての物件で既製品バルコニーを使う計画がありました。
既製品ということで施工の納まりと構造計算に必要な製品の重量・取付部に要求される強度を調べたのですが、メーカーの技術情報を見ても重量・必要強度が全く載っておらず、メーカーに問い合わせても話がかみ合わず難儀しました。

木造向け建材は構造設計することを考えていない?

今回に限らず木造住宅向けの建材は技術情報を見ても施工のやり方しか載っておらず、構造設計・構造計算に必要な情報がない事が良くあります(鉄骨造や鉄筋コンクリート造向けの製品ではこんな事は無いのですけどね)。

「軽量」なラスモルタルの商品が具体的に1㎡で何N(kgf)で一般的なものよりどれくらい軽いのかを全く書いていないという事例も・・・
※エコや健康を謳う湿式工法はこうした構造計算のためのデータに無頓着な傾向が強く、依頼物件の仕上表にこの記述があると非常に暗い気持ちになります。

これらの情報が無いのは木造住宅の多くは4号特例で構造計算が省略されるため問い合わせが少ないからと思われますが、木造は構造設計・構造計算をやらない前提で業界が回っている現状に四号特例の根は深いと改めて実感しました。

四号特例は廃止すべきか?

熊本地震で西暦2000年以降に建てられた耐震等級2の木造住宅が倒壊しているという現実を踏まえ東京都市大学の大橋好光先生が9月16日の日刊木材新聞で「木造は耐震等級5相当(基準法の2倍)とすべき」「国が構造計算ソフトを無料配布し、全て構造計算を行い、4号特例は廃止すべき」旨提言されています。今のところ業界も国も動きをみせていませんが、消費者の皆様に現状を知ってもらった上でそれでも変えなくて良いという判断なのでしょうか?