研修旅行の次の訪問建物は出雲ドームです。 前回の記事は→こちら

https://www.kajima.co.jp/tech/mokuzou/ex/dome/index.html#anc_izumo
より抜粋
「出雲ドームは、出雲市の市政50周年の記念事業として建設された。コンセプトは古代最大の木造建築・出雲大社を有する出雲市に、日本の伝統文化である木造建築をいかに現在の大空間構造として蘇えらせるかということであった。その解答のヒントが木製の骨に和紙を貼った「蛇の目傘」であった。構造上の最大の特徴は、木とテフロン膜にスチールを組み合わせたハイブリット構造(張弦梁)である。ドーム内に入ると、スチール部材はあたかも蛇の目傘の骨をかがる細い糸のようで、目立つことなく、ハイブリッド膜ドームとして世界最大の規模を誇っている。」

出雲ドームの設計及びは鹿島建設で1992年竣工。公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施工されるより20年余り前に建築されています。

 中に入ってみると圧巻です。頂部48m、スパン140mという非木造に負けない大空間のためサッカーや軟式野球の試合が可能です。ちなみに高さは出雲大社のかつての高さ16丈(約48m)を超えない様に配慮されているのだとか。木材はベイマツ集成材が用いられ、アメリカで加工を行い輸入・国内で接合部のボルト穴の加工を行い組み立てています。アメリカでは1943年に幅90.2m長さ326.7m高さ58.5mという東大寺大仏殿を凌ぐ世界最大の木造建築が建設されています。
https://oregonencyclopedia.org/articles/naval_air_station_tillamook_tillamook_air_museum/#.W-AGBzGYQuU

 

木造アーチ36本とテフロン幕で「蛇の目傘」をイメージして設計されたドームですが、そのままではアーチ材を形成する木材に大きな曲げ応力が入ってしまうので、3段の張弦リングで横に広がる力を押さえています。このリングの効果でアーチ構造で必要な脚部の開き防止を不要にしています。

 

木造アーチの拡大です。

木造アーチの下端はドームの外に露出しています。屋外露出となると耐久性が心配されますが、案内していただいた職員さんのお話しでは竣工して25年あまりのあいだ特に補修や取り替えは無くむしろ鉄骨部分の維持(再塗装)の方が面倒だったそうです。木材は雨仕舞いを適切に行って雨が直接木材にかからない様に配慮すれば維持管理はむしろ楽といえる証左ですね。

出雲ドームはいつでも見学可能(要入場料)で予約すれば職員さんによる案内もしてもらえるので、島根県に訪れたさいは是非お立ち寄りください。