最近は長期優良住宅もだいぶ増えてきました。自社の商品力アップのために長期優良住宅を検討している住宅会社さんも多いかと思います。ここで気になるのは長期優良住宅で要求される耐震等級2にすると施工コストがどれくらい上がるか?かと思います。
私が木造2階建て耐震等級2の構造計算をするとき通常の4号建築と比べて構造材の何がどう増えるかというと
柱梁の材積 | あまり増えません、木造の柱梁は主に自重を支えるためにあるので耐震等級を上げたからといって大幅に増える事はありません。特に高価で強度の高い材料も必要ありません。 |
屋根と小屋 | 屋根や小屋の剛性(強度)を高めないといけないので野路に杉板やコンパネを使っている場合は12mmの構造用合板に変えた方がよいでしょう。 杉板でクリアできなくも無いのですが・・・小屋が火打ち梁だらけになります。 |
2階の床 | 最近の主流である根太レス工法ならほぼそのままで問題ありません。 |
耐力壁 | 基本的に特殊なものは必要ありません。壁倍率2.5の構造用合板等の面材と壁倍率2の二つ割り筋かいの組み合わせで設計します。壁量自体は耐震等級1に比べて増えるのですが外周面材+内部筋かいの組み合わせを工夫し極力コストが増えないようにします。 |
金 物 | 柱の金物は耐力壁が増えた分それなりには必要ですが、使うのはよくあるZマーク同等認定金物だけです。施工性とコストに大きく影響するホールダウン金物も極力増えないように工夫し延床36坪程度の住宅で10個前後に押さえます。 |
基 礎 | 実はこれが最大の難関です。耐震等級1だと基礎のスパン表等でOKとされていますが、耐震等級2以上となるとちゃんと計算しなければならず、計算してみると実は鉄筋が足りないという事が多々あります。 それでも立ち上がり部分は主筋を上下D13一本として要所要所で主筋を追加すればよいのですが、ネックは人通口のところです。強度を確保するためここを掘り下げてRC造の梁みたいなゴツイ地中梁を入れてしまう構造設計者がいるようですが、私はそんな事をしないですむように設計します。 他に広々リビングなプランだとそこのベタ基礎の鉄筋ピッチが細かくなってしまうといった感じです。 |
以上は私が2階建て長期優良の木造住宅構造計算をした場合のコストアップになりそうなところは以上です。
意外な事ですが、木造住宅の場合耐震等級2をさらに耐震等級3に上げてもそれほどコストは上がりません。私も実際に両方の建物の構造設計をしてみて気がつきました。というのも等級を2→3に上げるとその分筋かいが増えるのですが、元々筋かい自体の材料費はわずかですし、他に増えるのは金物が若干と壁線が増えることによって基礎の立ち上がりが少し増えるといったところです。
むしろ難しいのは筋かいなどの耐力壁のスペースを建物の使い勝手を損なわずに如何に確保するかですね。この辺は私たち構造設計者の腕の見せ所であると考えています。
2階建て木造長期優良住宅の耐震等級2~3の構造計算を許容応力度設計にて承ります。
仕様規定による壁量計算と比べプラン等への制約が少なく導線や開口部への圧迫も少なく出来ます。
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