私は元々は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物の構造設計をしていたのですが、所属していた構造設計事務所に木造3階建て規格住宅の仕事が舞い込んで来た際、先輩社員から「お前がやれ」と指名されたのが木造との出会いでした。当時鉄骨やRCと勝手が違い面食らったのはよく覚えています。その後いろいろとご縁があって今では木造の構造設計を中心にお仕事をさせてもらっています。

構造設計者の間では木造は一段下と見られがちで、実際木造の構造計算自体は一番簡便なルート1な上に接合部はピンで耐力壁は壁倍率に比例して耐力と剛性が決まるというごく単純なモデルを使いますので、木造の構造計算自体はそれほど難しくはありません。

では、構造計算が簡単だから木造の構造設計は簡単かというと、そうでもありません。木造は2階建て住宅でも多数の柱梁の部材を有していて、それらを無配慮に配置していると簡単に現場で作れない設計となります。特に木造の梁架けは仕口の勝ち負けによる力の流れの違いや梁の架ける順番など、マニュアル化の難しい独特のノウハウが必要なのでここでつまずく人は多いです。他にも筋かい等の耐力壁も意匠上の収まりと密接に関係している事が多くそれらを妨げない配慮が必要ですし、使用する部材の耐力が鉄骨や鉄筋に比べて非常に小さいので効率よく配置しないと簡単に規格外の非現実的な部材が必要になってしまいます。このため耐震等級2や3の建物の構造計画をまとめられない人も少なくありません。

また、最近では中大規模木造の需要が増えてきましたが、木造トラスや燃えしろ設計など一貫計算ソフトでは対応出来ず独特の知識と経験がが要求されるようになってきました。また、調達しやすく加工しやすい断面の部材を選定し、加工・施工しやすい接合部の計画なども不可欠となってきました。

 

木造の構造計算は簡単です。

しかし、コスト・施工性等を考慮した適切な構造計画は難しく構造設計者の善し悪しが色濃く出ます。


コスト・施工性・強度のバランスの取れた構造設計・構造計算を承ります。
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