木造トラスは美しく見せたい

徐々に出はありますが中大規模木造が認知され物件も増えて来ました。中大規模木造では8~10mスパンの無柱空間が必須となる例が多く木造トラスなどで解決しますが、木造トラスはできれば内部空間の一部として美しく見せたいものです。

 

乾燥材での変色

木造トラスの場合JIS A3301などで下弦の引張材には集成材を使用する事が推奨されていますが、一般に使用されている集成材のラミナは高温で急速に乾燥させるため変色してしまっている事が多くあります。見え隠れの部分を中間検査時等で見ると気にならなくても、あらわしで使うと完成時に非常に目立ちます。製材(ムク材)を使用するときも乾燥方法の管理を適切に行っていないと同様です。こうした変色はプレーナー掛けで除去できる事もありますが注意が必要です。

高温乾燥で変色してしまった例

変色したラミナが混在した集成材

 

厄介な日焼けムラ

木材というのは日光に晒されると日焼けして色が変わってしまいます。伝統的な寺社建築などでは木のそのものの風合いを出すため徹底した養生を行いますが、一般的な建築物ではなかなかできないのが実状です。

以前ベイマツ集成材のトラスを設計しましたがプレーナー掛けした木肌が明るいピンクになり美しかったのですが、屋外で太陽光に晒されてひどい日焼けとムラが出てしまい、濃い色で塗装する事になってしまいました。またベイマツなどマツ系の材料は建方後もヤニが出てくるので施工管理上厄介です。

日焼けムラ

日焼けムラの例

日焼けがひどいと、あらわしの木材を濃い色で塗装しなければならなくなってしまいます。洋風ではじめからそうする計画であれば良いのですが、木の自然な風合いを見せたいときは注意が必要です。

 

木造トラスを見せたいなら杉と桧がよい?

国産の杉や桧の製材(ムク材)やヒノキの集成材を使用した場合は、比較的こうした木の風合いを美しく見せやすい様です。

桧はいうに及ばず、杉製材も乾燥方法に注意を払えば変色等の問題をクリアできますし、杉の心材と辺材の色合いのコントラストが色ムラをあまり気にならなくしてくれます。

また、桧の集成材はラミナによる色ムラもすくなく美観に優れている上、構造的にトラスの接合部設計で問題になるめり込みやせん断強度がベイマツ集成材と同等のため、木造トラスを設計するのに非常に向いています。桧の集成材はあまり供給されていませんが愛知県など自治体によっては力を入れているので多少コスト高になっても集成材が必要な部材は桧集成材を調達する事をおすすめします。

桧の集成材がもっと普及してほしいと切に願います。

ヒノキ集成+スギ製材

杉製材と桧集成材を組み合わせた木造トラスの例

 

またどんな場合でも現場でのサンダー掛け等を予め想定しておくと完成してから後悔することを防げます。

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国産杉製材と桧集成材を使用した木造トラスの例

 

以上当事務所で手がけた経験を簡単にまとめましたが、中大規模木造を手がける設計者さまの参考になれば。

 


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コストダウンの他、国産材・地域材利用、燃えしろ設計、トラスフレーム計算等にも対応し提案いたします。

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