先日の日経アーキテクチュアの記事に4号特例見直しについての記事が出ていました。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041301310/
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この件は当サイトでも「木造2階建て住宅は構造計算されていない!?」で触れています。4号特例見直しについては震災の被害状況を受けて国土交通省は平成21年5月までに廃止すると発表していましたが、諸事情から実施されずにいます。
上記の記事を読むと未だ廃止に対して抵抗が強く、かつて見直しを宣言していた国土交通省すら及び腰になっている様です。今議論している4号特例を廃止しても壁量計算書と梁伏図・基礎伏図といった構造図面の審査が義務づけられるだけで、構造計算書の提出は義務づけられません。木造を専門とする構造設計者としては4号特例廃止だけでは不十分という認識ですが、熊本地震で最新の法令下で建てられた住宅があえなく倒壊している現実をみて尚その程度の見直すら必要はないという判断をしている業界関係者が未だに多いのに驚かされます。
企業側で既に自主的に安全強化を進めている例も
一方で木造2階建ての所謂4号建築でも「企業の判断で安全な住宅を提供したい」と構造設計を当事務所に依頼していただいている住宅メーカーや工務店もいくつかあります。中にはローコスト住宅だが安全性だけはしっかりしておきたいという依頼もあります。依頼を受けた住宅は原則耐震等級3相当の構造設計を行っています。
安全上の規制強化が進まないのであれば、消費者から安全性を重視している企業が選択され、蔑ろにしている企業が淘汰される流れをつくってゆく必要があるのかもしれません。
ここで消費者の皆様に安全な住宅を手に入れるためにキーワードを紹介しておきます。
「御社の住宅は許容応力度設計で耐震等級3で構造設計されていますか?」
※必ず“許容応力度設計”を入れてください、簡易計算を構造計算とうたっている業者もいますので
この質問をして、はぐらかしたり渋ったりするところで建築・購入するのは避けましょう。
4 号特例廃止に向けて
記事中のシンポジウムにて神崎哲弁護士の提言が非常に重要と判断し全文を掲載します。
- (1)4号建築物にも建築基準法で構造計算を義務付ける。
- (2)4号建築物について構造計算以外の構造安全性確認方法(建築基準法20条1項4号のイの仕様規定)を残すならば、壁量の見直しなど規定の水準を改正し、水平剛性の見直しなど規定の方式を改正し、さらに梁断面寸法、柱・壁直下率、狭窄部がある場合の平面分割検討など項目を追加することで充実化・厳密化を図り、構造計算をしてもNGが出ない水準に改める。
- (3)4号建築物について、建築確認手続きにおける構造審査の特例(4号特例)を撤廃する。合わせて4号建築物を設計・監理できる建築士を限定する方向へ建築士制度を改革する。
2021/12/15 追記
四号特例について新たな動きがありました
四号特例いよいよ廃止!?
ご自宅の耐震性について不安のある方、ご検討中の住宅の耐震性が気になる方
ご相談を承ります
工務店様、ビルダー様などで品質向上のため自主的な許容応力度法による構造計算をかけたい
耐震等級3の住宅を計画したいとお考えでしたらお手伝いさせていただきます。
構造設計技術者を育成・内製化したいとお考えであれば、内製化のコンサルも行っていますのでご相談ください。