少し前の話ですが、6月頭に木の建築フォラム主催の地上5階建て(1階のみWRC)木造耐火集合住宅の見学会に行ってきました。
今の木造建築の技術は既に1時間耐火までは可能になっていて、建築基準法上 集合住宅(アパート・マンション)なら4階建て(5階建て以上の場合は最上階から4層分まで)木造化が可能です。木造で耐火建築とするにはいくつか方法があるのですが、技術的なハードルが低い被覆型が一般的でこの建物も被覆型で計画されています。
被覆型だと柱梁等の木材をせっこうボード等で覆わなければならないのですが、この建物は木材があらわしになっている箇所があります。 これは飾りでは無く任意解析プログラムで設計された筋かいです。意外と知られていないのですが、耐火建築も準耐火建築も筋かいなどの耐震の構造体には火災に対する被覆等は不要なのです。これを知っていると木造建築にしたのに耐火・準耐火の規定のために木が全部隠れてしまうのをいくらか防げます。 また、耐火木造は準耐火を違って告示で仕様が例示されていないので(※平成26年8月22日の告示で木造1時間耐火壁の仕様が施行されました)、今までは柱や床等をそれぞれ火災試験をやって大臣認定を取る必要があったのですが、最近では木住協やツーバイフォー協会が講習を受ければ使用できる大臣認定があるので、実施設計のさいのハードルもずいぶん低くなりました。今後防火地域の木造3階建て等も普及するといいですね。
ちなみにこの建物は耐火・構造設計を桜設計集団の安井昇氏と佐藤孝浩氏がそれぞれ行っているのですが、耐火とデザインの関係で通常の構造計算プログラムが使えず、任意の力学解析プログラムで構造設計・構造計算をしなければならいこの規模の建築物を佐藤氏お一人でされたそうです。一流レベルの方の実力に感服します。