先日から詳細図面を描いていた木造トラスの試験組立を行いました。
前述のとおり45分準耐火建築で燃えしろ設計で木造トラスあらわしにする物件です。燃えしろの内側に引きボルトを入れ、燃えしろ分の断面が無くなっても仕口が強度を保てるようにホゾのサイズ等を構造計算し決定した結果、組立も独特となりちゃんと組めるかの検証が必要になりました。
国産の杉集成材を使いたいところですが、今回は調達性を優先してベイマツ集成材を使用しました。次は是非国産材で挑戦したいものです。ちなみに製材(ムク材)は燃えしろ幅が集成材35mmに対して45mmと大きく幅150mmの部材でも正味60mmしか残らないのでちょっと難しいですね。
私の描いた詳細図とアイソメ図をベースにプレカット工場にて部品図を作成、それをベースに大量生産用のラインで加工できるところはそちらで行い、不可能な箇所を汎用の加工機で作成しています。
構造計画にあたっては組める様に・組みやすいようには配慮しているつもりですが、さて。
ボルトは火災時の燃えしろから隠さなければならない関係上、部材の接合とボルトを固定する順番を確認しながらとなり時間がかかります。
木造トラスフレームは2分割して、片方は工場で組み立て→搬送する事で建て方時の作業低減を計画しています。
燃えしろ設計をしている関係上一つ一つの部材断面が大きく重いですが、このくらいなら人力で何とかなりそうです。
こちらも工場で先行組立して搬送したいところですが、サイズが大きすぎて困難とのこと。このあと両者を接合すれば完成です。
完成しました。おかげさまでトラブルも無く試験組みは終了しました。
燃えしろ設計をしているため接合部の金物が全て隠しになり、意匠的にも金物の見えないスッキリしたトラスになります。
あとは現場でスムーズに組み立てられるよう手順を確認して伝達します。あと、こうした平面トラスは面内にかかる力には非常に強いのですが、面外への変形やねじれには非常に弱く建て方時の不注意で仕口が壊れてしまいやすいので、建て方で屋根に乗せるさいの注意点や補助となる当て木等の準備も手配しました。
木造トラスでは鉄骨のように接合部を溶接して部材を高力ボルトで接合という事ができないので、構造設計者・プレカット工場・大工さん・工務店の密な連携の上で加工と組立の計画をしてゆくのが重要と改めて認識しました。じっさいここまで来るのに様々な紆余曲折がありました。今後、有名設計事務所や大手建設会社によるフラッグシップな建築だけでなく、地場の工務店とプレカット工場+αでもこうした木を見せる中大規模木造をそこそこの建設コストで実現するノウハウを蓄積してゆければと考えています。
組み立ての動画をアップしました
保育園・老人ホーム・店舗等の建築計画の木造化について
一般的な工務店やプレカット工場でも大スパンの木造トラス、柱梁あらわしなどの計画を検討・提案をいたします。